私たちの住む海南市下津地域は、日本のみかん発祥の地と云われ、400年続いている段々畑でのみかん栽培や、土壁の蔵で1ヵ月以上熟成させる「蔵出しみかん技術」は日本農業遺産に認定されています。
しかし、高齢化や後継者不足によって、耕作放棄の畑が年々増えています。
現役の農家さんたちは、「私が元気なうちは頑張る!」と言ってくれます。しかし、元気でなくなる時は突然やってきます。大きな病気やけがをすることで、農作業を続けることが難しくなった時です。
みかんの畑は1年放棄された程度ならまだ元の畑に復元できますが、2年以上経過すると、木がだめになってしまい畑は元には戻りません。
しかし、後継者の育成には時間がかかります。この時間差を埋めるための対策として、耕作放棄されたみかん畑を、みかん畑ではなく地域資源(みかんのもり)として守る方法を生み出しました。
みかんが未成熟で青みかんの時(7月頃)、すべての実を落としてしまいます。そして落とした青みかんを回収し、その青みかんで経済的価値を生み出すことで、地域の経済も活性化させていきたいという大きな夢を描きました。
「耕作放棄地と後継者の問題の対策」「青みかんに関する活動」の2つのテーマが、みかんのもりプロジェクトです。
和歌山県『農業農村活性化支援モデル事業』に認定された活動です。
2010年より農薬・化学肥料不使用で栽培をスタートし、独自の方法で乳酸菌などの発酵菌を育てて園地に葉面散布する微生物活用農法です。他に、海水やカキガラ粉末など海のミネラルを園地に積極的に投入しています。また、木酢や梅酢などの酸も投入しています。
このようにして収穫したみかんは既存のお客様からの注文で予約完売状況が続いており、店頭などでの販売は行っていません。
㈱みかんのもりで使用している青みかんは、きのむすび農園の園地にて育てたものです。
また、「きのむすび」は無農薬・乳酸菌栽培で育てたみかんを販売する際の当社のブランド名でもあります。
青みかんは慣行農の通常作業においても摘果作業で得られます。
しかし、みかんのもりの青みかんとの違いは、農薬がかかっているかいないかです。
みかんのもりの青みかんは、花が咲く前に木そのものを守るため一度マシン油剤を散布していますが、実となり収穫するまでは無農薬で管理しています。
通常、みかんは農薬のリスクがあり、皮ごと食べることはできませんが、果物は一般的に皮の部分に多くの栄養が蓄えられています。
私たちは、「無農薬で皮ごと食べられる青みかん」を活用できないかと考え、3つの商品を生み出しました。
それが青みかん精油・パウダー・ウォーターです。
これらの商品は単独でも販売可能ですが、市内の様々な事業者様のお力を借り、
地域独自の新たな商品を生み出し、全国に向けて情報発信してしていくことで地域活性化に繋げていきたいと考えています。
青みかんを通じて新たなビジネスを生み出し、人と人、地域内と外、過去・現在・未来を繋げる。
そんな活動にしたいと思っています。
先に述べたように、耕作放棄地は突然生まれます。
その時、後を引き継いでくれる人がスムーズに見つかればよいのですが、地域内の農家はすでに自らの畑の世話で精一杯の状況となっているので、新たな担い手を外から引っ張ってくるか育てないといけません。
後継者の育成は一軒の農家に押し付けることはできないので、地域で受け入れる体制を整備しました。
農家を目指したいという方に、年間を通じてシェアハウス(予定)で生活してもらい、様々な農作業をアルバイトとして体験してもらいながら、プロの農家から技術等の指導を受けるというものです。
原則、1年単位の更新とし、単年度での参加も可能です。
2年以上の研修を積まれた方は卒業とし、卒業後も柑橘農家を目指したいという方には、独立するための様々なサポートをしていきます。
みかんのもりでは、新規就農者第3期生を募集しております。
期間:2023年4月~2024年3月(農閑期含む)
ご応募は、下記のお問い合わせページからご連絡ください。
【主な作業内容】
農閑期(4月~9月)
研修園(柑橘畑)を確保し、プロの指導を随時受けながら研修生が主体的に1年を通じて柑橘栽培に従事し、販売するなど。